さかなのかげふみ @Spia23Tc

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49702220R10C19A9EA1000/

東京電力ホールディングスは11日夜、台風15号による大規模停電の全面復旧は13日以降になる見通しだと発表した。なお約40万軒が停電している。送電関連の設備投資の抑制による電柱の老朽化が倒壊を増やした可能性は否めない。また、初動の甘さによる作業の遅れも指摘されている。

安倍晋三首相は11日の改造内閣発足を受けた記者会見の冒頭で「一刻も早いライフラインの復旧に全力をあげていく。きめ細かな支援を行う」と語った。

直接的な原因は台風15号が関東地方に上陸した台風で過去最強クラスだったことだ。千葉市で最大瞬間風速57.5メートルを観測。電柱は通常、経済産業省の省令に基づき風速40メートルに耐える設計だが今回はそれ以上の強風で、多数の電柱が倒壊した。

その結果、千葉県南部を中心に最大93万軒が停電となった。東日本大震災以降では東電では最大規模だ。千葉県君津市では高さ40メートル以上ある送電線の鉄塔2基も倒壊した。これが約10万軒の停電につながり、復旧の見通しが立っていない。

送電設備だけでなく今回の台風では姉崎火力発電所(千葉県市原市)など3カ所の火力発電も停止した。大雨でボイラーが故障し、今も60万キロワット分が足りず、10日夕方には他社から電力を融通してもらう事態になった。

想定外の強風は間違いないが、なぜ復旧に手間取っているのか。災害対策で東電の見込みの甘さを指摘する声がある。

応援対応を取り仕切った東北電力は、同社と中部電力を中心に約1070人の応援を決めた。想定以上に山間部での倒木などが多く、段階的に応援を増やし、11日には最大約2400人まで増員したが、後手に回った。

2018年9月に同規模の台風で被害が出たことなどを受け、電気事業連合会の勝野哲会長(当時、中部電力社長)は「要請が来る前に応援できるような組織が電事連にあってもいいのではないか」と指摘したが体制はあまり変わらない。

もう一つは東日本大震災の原発事故で経営が厳しくなった東電が送電関連の設備投資を抑えたことだ。

東電は送電や配電設備に1991年には約9千億円を投じていたが、2015年には約2千億円にとどまっている。耐久性があると判断した電柱への投資を先延ばししてやりくりした結果だ。

経産省は昨年の台風被害などを受けて電力関連の防災システムづくりを議論する有識者会議を設置。大手電力が持つ約28万9千基の送電設備などには問題ないと結論づけたものの2年連続で台風による大きな停電が起きた。設備投資や耐風性などの基準が適正だったか、見直しが広がる可能性がある。

また、大手電力は発電部門と送電部門を分ける「法的分離」で20年4月までに送電会社を別会社化する。送電部門が独立して経営するが少子化で電力需要が縮む傾向にあり「大きな投資をするのは難しい」(東電幹部)。電力各社は自社が抱える原子力発電所の安全対策費が膨らむという事情も抱える。

政府は大手電力10社がそれぞれ保有・運営している送配電設備の仕様統一に着手した。災害発生時に被害が出ても他社が保有する部材を使えないといった事態を解消するためだ。仕様を統一して大量調達が可能になれば、コストも下がる。

電力を地域間でやりとりする送電線を増やすため、全国の大手電力会社で工事費用を分担する制度案も決まった。発送電分離など、電力は自由化の方向へ改革が進む。政府や電力大手は、効率化を進めつつ災害対策も強化するさらなる対応策が求められそうだ。
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