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東京電力福島第一原発の処理済み汚染水の処分方法をめぐり、原発事故で避難指示が出された市町村などの首長や議会への説明や意見の聞き取りが12日までに一巡した。「海洋か大気への放出が現実的」とする経済産業省の小委員会の提言に対し、意見に温度差はあるが、ほとんどが賛否を表明しなかった。
「漁業の全面再開を目前にしたこの時期に海洋放出をすれば、更なる風評被害を招き、漁業関係者の被害は甚大だ」
請戸漁港がある浪江町の議会は3月、小委員会の提言について経産省からの説明を受け、反対決議を全会一致で可決した。佐々木恵寿議長は「漁港を抱える街は他にもあるが、浪江は原発事故で全町避難を強いられたことが大きい」と、決議の理由を説明する。
原発事故後、県内では今も福島第一原発から10キロ圏内での漁ができず、試験操業が続く。だが、今年2月に海産物の県の出荷制限が全面解除されたことに加え、漁業を担う若手も育ちつつある。
県漁連はこれまでの公聴会などで陸上での保管を求めている。漁師の高野武・浪江町議は「放出すれば風評被害の上乗せになり、簡単には納得できない。国の姿勢には不信感がぬぐえない」と話す。
経産省は3月から、双葉郡や放出の影響が大きい沿岸部の計15市町村の議会に、小委員会の提言の説明会を開いてきた。ただ、浪江町のように賛否を示した市町村は他にはない。
広野町議会では「放出すれば風評が戻る」との意見が出た一方、「原発が稼働していた時は流していた。正しく海に流すことに抵抗はない」との声も。国に対しては「保管場所がない、期限があると放出ありきの説明だ。長期保管も視野に入れた選択肢も示すべきだ」(富岡町議)との批判も出た。
15市町村で最後の今月12日に説明会が非公開で開かれた新地町議会。遠藤満議長が閉会後に取材に応じ、「風評被害を懸念する意見が多かった」と話した。ただ、議会としての賛否は「今後、検討したい」と述べるにとどめた。
双葉郡内のある議員は「復興が残るなか、地元要望を各自治体が国にしている。首長や議会というまとまりで、国の提言を正面から反対すれば要望しにくくなる」と話す。
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意見聴取は県と浜通りの13市町村を対象に開かれた。国の慎重な判断を求める意見が相次いだが、明確な賛否を示した首長はほとんどいなかった。
内堀雅雄知事は、先月の聴取会で松本洋平・経産副大臣らに農林水産物の風評被害が依然続いている状況を説明した。ただ、処理水の処分については「農林水産業や観光業に影響が出ないよう慎重な対応方針を検討してほしい」と述べるにとどめた。
いわき市の清水敏男市長も「今以上に風評が発生すれば、関係者のこれまでの努力が無駄になり、復興が大きく遅れる」と強調。大熊町の吉田淳町長は「風評被害の上乗せをする前に原発事故(自体)の風評被害への有効策を打ち出してほしい」と注文をつけたが、判断は国に委ねるとして賛否は示さなかった。
一方、飯舘村の菅野典雄村長は放出への立場を鮮明にした。「国が賠償や補償について腹を決め、きちっと(方針を)出して頭を下げることが大切だ」と語り、国の責任を前提に容認する考えを示した。
国は、今後も市町村や議会などからの要望があれば、説明の場を設ける。今後、処理水を放出した場合の具体的な風評対策の検討も進めるとしている。(古庄暢)
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処理済み汚染水 東京電力福島第一原発の原子力建屋内に溶け落ちた核燃料の冷却水や建屋に染み込んだ雨水を多核種除去設備(ALPS)で処理したもの。大半の放射性物質は取り除けるが、トリチウムは除去できず、敷地内の約1千基のタンクで保管している。昨年度は1日平均180トンの汚染水が流入した。東電はタンクの敷地に限りがあり、2022年夏には満杯になるとしている。