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電力の卸市場の価格高騰が新電力を直撃している。秋田県鹿角市などが出資する地域新電力「かづのパワー」は2月中旬に全事業を休止。歯愛メディカルは傘下で北陸地方で電力小売りを手掛けるワンレクトホールディングス(HD)の保有する全株式を売却した。卸価格は足元では一服しているが、再び高騰に転じればさらなる撤退の動きが広がりかねない。
かづのパワーの売電は産業向けが2月1日から、家庭向けは同14日からそれぞれ休止する。同社は固定価格買い取り制度(FIT)電源の水力7割、残りが電力卸市場から調達して53施設に売電していた。いずれも市場と連動した価格になる電力で、1月に急騰した卸価格が直撃した。債務は最大で5000万円まで膨らむ見通しだ。
同社は「1日約40万円の売り上げに対し、1月中旬には調達に連日450万円もかかった。このまま継続しても債務が増えるだけと判断して事業を停止する」と話す。休止後は送配電事業者の東北電力ネットワークが顧客を引き継ぐ。かづのパワーの株式は鹿角市が49%、残りを秋田銀行など地元の金融などが保有する。債務の返済方法などは市と相談して決めるが、市の財政支出が避けられない見通しだ。
歯愛メディカルは22日に、60%保有の全株式を売却し、ワンレクトHDの小田柿陽介社長らに譲った。歯愛メディカルは「市場価格の高騰でワンレクトHDの先行きが不透明になった」と説明。同社はこのほか新電力2社の株式を所有するが、今後売却するかどうかは「未定」としている。
卸電力のスポット価格は一時、全時間平均で1キロワット時150円超の異常な高値をつけた。寒波などの影響で火力発電を想定以上に稼働させたことなどから、発電用燃料である液化天然ガス(LNG)などの在庫が減少。燃料不足で発電量を増やせない状態に陥ったことが価格高騰を招いた。長期保管が難しいLNGの在庫不足はしばらく続く見通しだ。
足元では例年とほぼ同じ水準の同12円程度に急落した。日本卸電力取引所(JEPX)の指標価格(24時間平均)は26日受渡分が同11.9円と、過去最高値を付けた2週間前の10分の1以下。昨年12月下旬以来1カ月ぶりの安値で、ほぼ平年の冬並みの相場水準に戻りつつある。
経済産業相直属の電力・ガス取引監視等委員会が、高騰抑制策として22日から電力入札価格の「需給曲線」を公開したためだ。今回の高騰局面で、新電力などの買い入札価格が発電側の売り入札価格を大幅に上回っていたことが判明。「必要量を確保しようと無理な高値で入札していた買い手の心理が落ち着いてきた」(新電力)
全国的に冷え込みが和らいだほか、関西電力の大飯原子力発電所4号機の運転再開などで西日本の電力需給が改善したのも値下がりにつながった。26日は朝のピーク時間帯も同30円にとどまった。JEPXの担当者は「過度な高値は一息ついたが、冬場の電力需要期はまだ続く。突発的な高騰への警戒は必要」としている。