さかなのかげふみ @Spia23Tc

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01567/00010/


 2021年2月13日に福島県沖で発生したマグニチュード(M)7.3の地震で、最大震度6強を観測した福島県相馬市と新地町付近の被害状況を、地域微動探査協会の横山芳春事務局長が地震発生の翌日に調査した。

 相馬市と新地町にまたがる相馬港では、液状化が発生しているのを道路面で確認できた。横山事務局長は「噴砂を手に取って観察すると、粒のそろった細かい砂が主体で、液状化の発生しやすい特徴を備えていた」と話す。港湾施設は一般に、浚渫(しゅんせつ)工事で取り除いた土砂を埋め立てに使うことが多いので、液状化が発生しやすい場所だ。地質図では盛り土層に当たる。

 しかし、建物が液状化で沈下している様子は目視では確認できず、港の周りの住宅地では液状化の噴砂も見つからなかったと言う。液状化の被害がさほど深刻に見えなかった理由について横山事務局長は、「太平洋側の冬は降水量が少なく、地下水位が低い時期だったことが関係しているかもしれない」と分析する。


◆瓦のずれは棟部に集中

 住宅の被害で目立つのは、古い屋根瓦とブロック塀だ。屋根瓦の被害は地盤が軟弱な低地側の住宅にやや多く、台地層や泥岩層の住宅でも確認された。屋根瓦のずれは棟部に集中しており、ブルーシートによる養生が至る所で行われていた。ブロック塀の損傷は、横山事務局長が調査した範囲では上部など部分的にとどまっていた。

 一方、古い木造住宅に倒壊などの著しい被害は見つからなかったと言う。過去に発生した震度6強の地震被害と比較すると、軽微な印象だ。「こうした被害の特徴は、やや短周期成分が卓越していた今回の地震動にも起因する可能性がある」(横山事務局長)

 相馬市にある潟湖(せきこ)、松川浦の西岸にある塩釜神社の付近では、泥岩でできた斜面の崩落やひび割れが複数個所で確認された。松川浦の周辺には泥岩層が点在している。泥岩は硬いので支持地盤としては良好だが、斜面では徐々に風化して崩落しやすい地質だと言う。横山事務局長は「調査した地域一帯には、背面が泥岩の斜面になっている住宅地が多く存在する。今後の余震や大雨で崩落が進む恐れがあり、警戒が必要」と呼び掛ける。

 新地町内では、道路橋の橋脚部に段差が生じている被害が見つかった。津波被害を受けた11年の東日本大震災後に盛り土した地盤だ。道路の段差は他にも複数個所で発生していたが、一部は復旧して、横山事務局長が移動した範囲の交通に支障は生じていなかったと言う。

 横山事務局長は「調査した範囲では、住宅の著しい倒壊などは見つからなかった。東日本大震災の地震動よりは大きな揺れに見舞われていたようだが、建物に被害を与えるような揺れではなかったと考えられる。19年6月の山形県沖地震の被害状況に似た印象だ。今後タイプの異なる被害が報告されたら、より詳細な微動探査調査に出向きたい」と話す。
6views