さかなのかげふみ @Spia23Tc

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東京電力福島第1原発で増え続ける処理水を巡り、経済産業省資源エネルギー庁が地元住民や学生らを対象にした座談会を開いている。国が海洋放出を軸に処分方針を検討する中、安全性などに関する住民の理解が広がっていない事情が背景にある。

2月上旬、福島県飯舘村の公民館。「処理水に残るトリチウムは水の仲間。弱い放射線を出すが、紙1枚で防げる」。エネ庁の木野正登参事官の説明に村民12人が耳を傾けた。「放射性物質と聞くと怖いイメージもあるが、人の体内にも取り込まれている。大事なのは基準値を守ることだ」と強調した。

第1原発で出る汚染水は浄化処理されるが、トリチウムは除去できない。濃度を基準値以下に下げた水の放出は国際的に認められている。有識者でつくる国の委員会は2020年2月、海洋放出を事実上の選択肢とする報告書をまとめた。

たまった処理水は21年1月時点で約124万トンに上る。「ちょうど東京ドーム1杯分に相当する。このうちトリチウムは16グラムにすぎない」と木野参事官。卓上に置いた第1原発の模型を前に「処理水をためるスペースは限界に近い」と続けた。

処理水の理解を広げようと、エネ庁はこうした座談会を重ねている。地元の住民や学生、漁業や消費者団体関係者のほか、県外から第1原発を見学に訪れる人らを対象に、これまでの開催は数百回を数えるという。

飯舘村民はそれぞれ疑問をぶつけた。「科学的には安全だと聞こえたが、海に流せば消費者は魚を買わなくなるのでは」との問いに、木野参事官は「漁業者になるべく心配をかけないよう、風評対策をとるのが我々の役割」と応じた。

菅野クニさんは「福島以外の原発からも流しているとして、他県は地元にどう説明しているのか」と質問。木野参事官は「各自治体は放出を公表しているが、情報は住民にあまり届いていないだろう。隠しているわけではないが積極的に説明もしていない」と答えた。

課題は「県内以上に県外での理解促進」(木野参事官)だ。座談会では「この問題に関心のない人に対し、経産省が取り組む姿勢が見えない」「風評被害を生まないため、東京湾や大阪湾にも少量を流すべきだ」との声も上がった。

エネ庁は今後、首都圏など都市部の住民向けに説明する場を設けることも検討する。

国の有識者委員会委員も務めた東京大大学院の関谷直也准教授は「福島の復興への世間の関心は薄まっている。新型コロナウイルス感染拡大もあり、福島県外では処理水の報道量も少ない」と指摘。「国は原発事故後の10年を通じて弱かった海外への情報発信も強化すべきだ」と話す。

(福島支局長 黒滝啓介)
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