さかなのかげふみ @Spia23Tc

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 東京電力福島第一原発事故後に福島県内の除染で出た汚染土を県内外の道路工事などで再利用する。そんな国の計画への理解が全国で広がっていないことが、朝日新聞の知事アンケートで浮き彫りになった。7知事が反対し、他の知事も「安全性がまだわからない」「判断できない」「回答を差し控える」などと答え、賛成の回答はなかった。

 アンケートは1~2月に実施。福島を除く46都道府県の知事に賛否を尋ねた。福岡は知事が入院中として副知事が答えた。「県民の理解が得られると思えない」などとして道路や農地造成に使うことに反対した知事が5人、道路だけ、農地だけ反対した知事がそれぞれ1人ずついた。

 汚染土は2045年までに県外に搬出して最終処分すると法律で定められている。中間貯蔵施設への搬入量は来春に約1400万立方メートル(東京ドーム11個分)に達する見込み。国は、膨大な量をすべて最終処分するのは現実的でないとして全体の8割を再利用したい考え。放射能濃度が比較的低い汚染土を普通の土で覆うなどの手法を想定し、24年度までに用途や管理方法などをまとめる方針だ。

 実際に処分量をどれだけ減らせるかはまだ見通せないとして、最終処分の候補地選定プロセスなどは一切示していない。アンケートでは最終処分の受け入れ意向も聞いた。8知事は「受け入れることはできない」と拒否。ほかの知事は、国が工程を示していないなどとして「回答できない」「どちらとも言えない」と答えた。(福地慶太郎、戸田政考)


▼「30年の我慢」と言い聞かせて来たが

 福島県内で出た汚染土を県外で最終処分する「約束」は守られるのか。国が不可欠とみる汚染土の再利用の計画について、自治体との間に深い溝がある。原発事故から10年。地元からは切実な声が聞かれる。

 門馬好春さん(63)=東京都渋谷区=の実家は、福島県大熊町の中間貯蔵施設の区域内に解体されずに残っている。福島第一原発からわずか100メートル余り。一帯は線量が比較的高く、町の許可がないと入れない「帰還困難区域」だ。

 防護服で実家に帰るたび、汚染土が入った黒いフレコンバッグの山が目に入る。「福島の復興のため。30年の我慢だ」。そう自分に言い聞かせてきた。

 門馬さんらは2014年12月、有志で「30年中間貯蔵施設地権者会」を立ち上げた。目的は、土地の補償額の引き上げではない。県外処分の「約束」を守らせるため、国と交渉を続けている。

 事業を担う環境省は、地権者に土地を売るか貸すかを求めており、今年1月で約75%の契約が済んだという。だが、最終処分地の選定をいつからどう進めるのか、具体的に示していない。門馬さんには、県外処分ができなかった場合に備え、30年後も汚染土を保管できる「逃げ道」を残そうとしているように見える。「国が県外処分の約束を守らず、中間貯蔵施設を最終処分場にすることは許されない」

 実際、国は11年6月、福島県内に最終処分場を造る考えを知事に伝えた。県側は「あり得ない」と猛反発。国は「中間貯蔵の開始後30年以内に県外で最終処分する」と転換し、県はその法制化を条件に中間貯蔵施設を受け入れた。15年に汚染土の搬入が始まると、国は全量の最終処分は「実現性が乏しい」として、再利用で処分量を減らす方針の具体化に踏み込んだ。


▼約束が守られると思うか調査 8割が「思わない」

 再利用への理解は、県民の間でも広がっていない。

 福島県二本松市では、市道の工事に汚染土を使おうとしたが市民が反対。環境省は18年6月、計画を事実上撤回した。反対の署名を集めた佐藤俊一さん(80)は「農家が風評被害を心配するなど、市民の間に怒りが広がった」と振り返る。地震や水害で汚染土が流出することも懸念した。「再利用をするなら、安全性に対する国民的理解が必要なのに、いまもできていない」と指摘。県外最終処分についても、「本当にできるのか」といぶかる。

 南相馬市内でも常磐道の拡幅工事に汚染土を使う計画があったが、地元で反対の声が相次ぐうちに工事自体が終わったため、環境省は今月、地元の区長らに計画の断念を伝えた。

 一方、飯舘村では19年から、汚染土でかさ上げした農地の実証実験が開始。栽培したカブやキュウリなどの放射能濃度は1キロあたり0・1~2・3ベクレルで、国内の食品基準値(同100ベクレル)を大きく下回った。

 国への不信感は根強い。朝日新聞などが20年の福島県民世論調査で県外最終処分の約束が守られると思うか尋ねると、「思わない」が8割で、「思う」の17%を大きく上回った。

 そもそも、県外最終処分が法律で決まっていること自体、全国では認知度が低い。環境省の20年のウェブ調査(全国の約4千人が回答)では、県外の回答者は「聞いたことがなかった」(51%)、「聞いたことはあるが内容は知らなかった」(30%)をあわせて8割がよく知らなかった。18、19年の調査より認知度は下がっている。県内では約5割の人が知っており、ギャップが大きい。

 小泉進次郎環境相は今年2月、「福島の復興は日本全体の課題だ」などとして、県外最終処分について全国で市民向けの説明会を開く方針を示した。門馬さんは「国が社会に十分周知してこなかったツケが認知度の低さに表れている。賛成の人も反対の人も一緒に、本当の議論をしてほしい」と話す。(福地慶太郎、戸田政考)



汚染土を自県で農地造成に使うことに「反対」した知事
 山形、山梨、静岡、長崎、鹿児島、沖縄


汚染土を自県で道路工事に使うことに「反対」した知事
 山形、山梨、滋賀、長崎、鹿児島、沖縄


     ◇


 〈汚染土〉 原発事故の除染で田畑や庭などの表面をはぎ取った土。ふるいにかけて、草木や落ち葉などを除いたり、土の粒のサイズをそろえたりする。人が近づいても年間被曝線量が十分低くなるように、再利用は放射能濃度が1キロあたり8千ベクレル以下の土に限る。
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