さかなのかげふみ @Spia23Tc

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC150AL0V10C21A4000000/

北海道寿都町で14日夜開かれた高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の地層処分を巡る「対話の場」は、初回から議論が紛糾して収拾がつかないまま終了した。地層処分についての非公開の意見交換には入れず、公開の場で会則や対話の形式といった入り口論に終始する異例の展開をたどった。

午後6時30分、寿都町総合文化センターで始まった集会は序盤からつまずいた。第三者のファシリテーター(促進役)が議論形式の説明を始めると、一部の参加者が「まずは『会則』を話し合うべきだ」と主張した。会則とは、次回から対話の場を運営する「寿都町対話の場」の規則。参加者による主体的な運営を目指す原子力発電環境整備機構(NUMO)と寿都町が原案を作成し、意見交換終了後に同意を得る手はずだった。

声をあげたのは主に最終処分場誘致に反対する立場の参加者で、会則にある「対話の場の目的」が処分場建設を前提としているのではという点や、参加者への謝礼金や開催経費をNUMOが負担する点などを問題視した。寿都町の立場を問いただし、片岡春雄町長が説明に立つ場面もあった。

この日の参加者は事前に同町が選んだ町議会議員、商工会議所など町内各団体の代表者合わせて18人。参加予定だった町内会連合会の代表2人は欠席した。町内の反対意見を押し切って文献調査への応募を決めた寿都町の片岡春雄町長、経済産業省の小沢典明・首席エネルギー・地域政策統括調整官、NUMOの伊藤真一理事は議論に参加しないオブザーバーとして出席していた。

結局会則についての結論は出ず、休憩をはさんで約2時間30分で対話の場の初回は終了した。詰めかけた記者団の取材に応じたNUMOの伊藤理事は「我々の思っていた通りのやり方ではなかったが、次につながる議論になった」と語った。

対話の場での発言は一部の参加者のみに偏り、対話にはならなかった。ファシリテーターが意見を促しても手が上がらない場面も目立ち、終盤に発言したある参加者は「会則に納得し、対話集会に参加したつもりだったのに、何も進んでいない」と率直な思いを打ち明けた。

公開の場での発言とあって「地層処分に賛成の立場を表明したら誹謗(ひぼう)中傷を受ける。反対派の人の発言が目立っているが、フラットな状態でなければ議論はできない」と警戒する参加者も。本来予定していた「非公開の少人数形式」に至らず、活発な議論からほど遠いまま初めての話し合いは終了した。

片岡町長は終了後、「初回としては本音の話が十分なされて良かった」と述べた一方で「このままの状態では話さない人がいると(参加者の)皆さんも理解したのではないか。こういうことを繰り返してはいけない」と先行きへの危機感も口にした。

20年秋から始まった文献調査は2年程度の予定で、寿都町の住民投票や北海道知事の反対という高いハードルをクリアしなければ次の「概要調査」には進めない。もともと賛否が交錯する難題で議論を深めるプロセスだけに、多難な前途を象徴する滑り出しとなった。

(井田正利)
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