さかなのかげふみ @Spia23Tc

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01712/070800022/

 静岡県熱海市の伊豆山地区で発生した大規模な土石流について、県や専門家は最上流部にあった盛り土の崩壊が引き金になったとの見方を示す。谷地形を埋め立てた盛り土が、長時間の雨で増加した地下水の流れをせき止めていたとみられる。

 地盤工学を専門とする東京電機大学の安田進名誉教授は現場周辺について、「溶岩の上に火山灰や噴出物が広く堆積していて、もともと崩れやすい地質だった」と説明する。ただ、上空から被災地を視察したところ、土砂が崩れた箇所は他になかったという。土石流の発生には、盛り土という人為的な要因が大きく影響しているとみる。

 土石流が流れた場所は、急峻(きゅうしゅん)な山間地の谷地形だ。静岡県によると、土石流の起点では約5.4万m3あった盛り土がほぼ全て崩れた。流れ出た土砂の総量は推定で約10万m3に上る。

 安田名誉教授は「崩れた土砂は、谷の両側の土を削って体積を増やしながら流れた」と分析する。土石流が通った跡は地肌が広くむき出しになっていた。

 土石流の流路の傾斜は約11度。起点から海岸までほぼ一定の角度を保っていた。土石流の勢いを弱める箇所が少なかったため、約2kmの区間を一気に流れたとみられる。


◆雨水が集まりやすい地形

 伊豆山地区周辺は、2019年10月の東日本台風(台風19号)で大きな土砂崩れは起きなかった。伊豆山地区に最も近い熱海市網代の観測地点では、24時間降雨量が200mmを超える強い雨を記録した。

 土石流が発生した今回は、同観測地点で24時間降雨量が200mmを超えなかった。しかし、短時間に集中して降る雨ではなかったものの、7月1日から土石流が発生した7月3日まで100mmを上回る雨が降り続いていた。長時間にわたって雨が降り続けると、土の中に水分が蓄積しやすい。

 崩壊の起点の標高は約390mで、標高734mの岩戸山の中腹にある。盛り土で埋め立てる前は谷地形の最上流部だったので、周辺に降った雨水が集まりやすかった。

 「盛り土が崩落したのは、流れてきた地下水をせき止めたからだと思われる」。崩壊によって露出した面から水が流れ出る様子を確認した安田名誉教授は、こう推測する。盛り土の中にたまった地下水の水圧が高まって土砂が崩れた可能性があるという。

 通常、谷間を盛り土で埋める場合、排水パイプを地中に設置するなど排水工が必要だ。「現地の視察だけでは、排水対策が取られていた形跡は確認できなかった。排水対策の有無は土石流発生の原因を検証するポイントとなる」と安田名誉教授は指摘する。
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