 博覧会でワインに与えられた賞(『東京勧業博覧会審査報告』) |
 その詳細。次ページに問題のワインがある(『東京勧業博覧会受賞人名録』) |
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前回、第1位を「校閲さんの無数のチェック」とした。
これは校閲の仕事に敬意を表する意図がある。
実際、読んで楽しんでくれたかたもいるのではないかと思う。
でも、心のどこかでこう思わなかったろうか。
「もっとすごい指摘を出せ!」
「おまえがやらかしたミスを見せろ!」
「我々が待っていたのはその第1位だ!!」
――ぼくならそう思う。
というわけで、もう一つ。ひそかに取っておいた指摘。
題して、「1位タイ・葡萄酒金牌問題」である。
作中の第二話、ぼくは白ワインを出すことにした。
だとして、どういうワインがいいか。
軽く調べると、「東京勧業博覧会で一等金賞牌を受賞」
というものがあった。
これはちょうどいい!
なんといっても、東京勧業博覧会はのちに作中にも出す。
伏線というほどでもないけど、ある種の助走にはなる。
そこでぼくはこう書いた。
【原文】
「葡萄酒だね?」杢太郎が訊ねると、あやのが頷いた。
「先の勧業博覧会で一等金賞牌を受賞したものにございます」
商品名は伏せるが、公式サイトにはそうあった。
作中に固有名詞はないし、問題は起こりようがないだろう。
仮にワインが特定されても、ちゃんと公式情報がある。
ついでに、第三者の論文にそう書かれているやつがある。
校閲さんはそれをも疑った。
【指摘】
明治40年の東京勧業博覧会では、葡萄酒で「名誉金牌」または「一等賞」の受賞はなかったようです(資料4a,b)。また、××公式サイトにはその記述がありますが(資料4c)、「二等賞」だったようです(資料4a)。
資料は画像の通り。
金牌、一等賞ではなく、与えられたのは二等賞であった。
もう何度目かわからないけれど、この台詞を言わせてほしい。
よく調べようと思いましたね?!
ワインの名前すら出してないんだよ?!
皆さんだんだん感覚が麻痺してきてるかもしれないけど、
普通、こんなこと怪しんで調べませんからね?
『東京勧業博覧会審査報告』って何。
『東京勧業博覧会受賞人名録』って何。
ついでに言うと、「一等金賞」というものは存在せず、
「名誉金牌」「名誉銀牌」「一等賞」「二等賞」
それにつづき、「三等賞」「褒状」であった。
(あの論文はなんだったんだ……)
はっきり証拠を示されたので、ここは修正する。
【修正】
一等金賞牌→二等賞
この指摘は、特に思い出深いものである。
何しろ、連載をはじめたばかりのこと。
「なんかすげえ校閲さんに当たったぞ!」
とわくわくするとともに、幸運を確信したからだ。
というわけで、ベストテンはここまで。
どうもありがとうございました!!
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